ココア

冬はココアが美味しい。
マグカップにたっぷりとココアの粉を入れ、ポットのお湯を注ごうとしたら、
「ん?あれま(-_-;)」
なんと電源がはずれていて、中は水になっていた。

仕方ない。レンジでチンしようと考える。
どぼどぼ・・・たっぷりとココアにを注ぐ。
「溶けないじゃん」
ぐるぐる・・・とかき回しながら・・!!よしこちゃん!!
突然よしこちゃんを思い出した。



小学校1.2年生のとき同じクラスだったよしこちゃんは、
赤ちゃんの時「小児麻痺」という病気をした。
おしゃべりが上手にできなかった。
手足の動きも他の子とはちがっていたから、
心無い子供たちは、
よしこちゃんのおしゃべりの仕方や手足の格好などを真似て笑ったりした。

そのよしこちゃんと、どこかに遊びに行った帰り「うちへおいでよ」と誘われた。
家へ行ってみるとおうちの方は留守で、
暖かい飲み物を飲みたくても飲むことができない。
小学校1.2年生では火を使うことは禁止されていたし、
レンジなんてものはない。
よしこちゃんはココアを水で溶いて私に出してくれた。

「冷たいココアっていうのもあるんだよ」とよしこちゃんは言ったけど、
私は「うそだ、あるわけない!!」と言い張った。
飲んでみたものの粉粉しててまずくてたまらずペッ!と吐き出した。
子供というのは正直だ。
我慢して飲んで「あぁ、おいしい」なんて芸当はできないのだ。
結局喧嘩になって、私はよしこちゃんの家を後にした。


大人になってから「アイスココア」というメニューを喫茶店でみるたびに、
よしこちゃんの入れてくれたあのココアが目に浮かぶ。
よしこちゃんのことをからかっていた同級生や、
ペッと吐き出してしまった私の態度や、いろんなことが思い出される。
時として子供はひどく残酷だ。

私は未だにアイスココアが飲めない。
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