その夜我が家では、
近所の友人たちとお好み焼きパーティーをしていた。
やれ揚げ玉がないだとか、豚肉が多すぎるとか・・
お酒も入ってとてもにぎやかな夜だった。
帰り際に友人がちーちゃんを見て
「ねぇ、この子ちょっと元気ないんじゃない?
さっきまであんなに元気だったのに」と言った。
疲れて眠ったんだろう・・・と思っていたが、
眠っているというより、うずくまってるという感じだ。
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時計をみるとすでに夜中の12時を過ぎていた。
ケージの前に私の布団を敷いた。
香箱座りをしている。
決して体勢を崩さない・・・。
そして目を瞑り、
じっと何かに耐えているといったらいいのだろうか。

「ちーちゃん、ヨコになったら?眠ったら?」
と声を掛けても、まったく動かない。
「えっ?」死んでしまったのではと思うほど、動かない。
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ケージからそっとちーちゃんを出して、
自分の枕元に置いた。
よく見ると、かすかにお腹のあたりが動いている。
そうして「息をしてる」ことを確認する以外にない。
それほど動かない。
早く朝になって、朝になって・・・と祈るような思いで
ちーちゃんをずっと見ていた。
このまままったく眠ることができないまま朝になった。
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病院が開くのを待って一番にちーちゃんを連れていった。
車の中でも、病院の待合室でもずっと声を掛ける。
「ちーちゃん、頑張ってね、もう少しだからね」
でも「にゃん」とも返事がない・・・。
先生はちーちゃんの目を「アッカンベー」させて
「う〜ん」とうなってしまった。
「入院させたほうがいいんだけどなぁ」
夕べから何度も「死んじゃうかもしれない」という思いがあった。
とっさに「先生、お願いします。家で家で診たいんです」と言ってしまった。
普通なら病院にお願いしたほうがいいに決まってる。
連れて帰ってもただ見ているだけで何もできないのに。
それでも「もし、だめだったら・・・」
先生は目を離したりしなかっただろうか、
ああしてくれたら、こうしてくれたら・・・
なんて失礼なことを考えないだろうか。
その時、私はとっさに
「死んでしまうなら我が家で、私の手の中で・・・」と思ってしまった。
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先生は、「脱水症状を起こしてるから」と
太いリンゲルを2本、ちーちゃんの首に注射した。
「お水をこうしてためておけるのは、らくだと猫だけなんだよ」
私が半べそをかいているので、やさしく説明をしてくれる。
「夕方またいらっしゃい」と言われ、病院を後にした。
つれて帰ったちーちゃんをケージにそっと入れて、私も横になる。
夕べ一睡もしてない。ちーちゃんも私も・・・。
ケージの扉をあけ、私の手をいれてちーちゃんのそばに置いた。
暖かさが伝わってくる・・・
ずっと、ずっとこのまま暖かいまんまいてね・・・。
すっーと睡魔がおそって、いつの間にかウトウトしてしまった。 |
気が付くと、ちーちゃんはケージの中のトイレにいた。
今朝まったく手をつけなかったごはんも、少しだが食べたようだった。
トイレの中でおしりをあげたり、さげたり、いきんでみたり・・・。
変な格好をしている。
う●ちをしたいようなのだが、うまくできないのだろうか
「?」
お尻から真っ赤なものが出てきた。
ふーちゃんの回虫事件を思い出すような色だ。
ちーちゃんはますます苦しそうな格好になっている。
これは手伝わないと・・・
私はティッシュを使い、真っ赤なものをちょっとひっぱってあげた。
「あれ?・・・・あれ?」
どんどん出てくる。
まるで手品の国旗があとからあとから、
ズルズルと出てくるアレと同じだ。
なんだろう??
それは、私の片手では間に合わないほど長いものとなった
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ストン・・・やっと切れた。
わたしは、急いで洗面所にそれを持っていって、
勢いよく水を出して洗った。
それは見覚えのある「ひも」だった。
少し前に家で
「野球のユニフォームのラインを縫い付ける内職」をしたことがあった。
ジャージに、伸びる糸を使って決められた色と幅のラインを縫い付けていく。
7ミリ幅の赤いライン・・・それがちーちゃんが飲み込んだものだった。

私はメジャーを持ってくると、それを測ってみた。
80センチ・・・おどろきの長さだった。
たぶん私たちがお好み焼きパーティーで騒いでいる後で、
ゴックン、ゴックンと
飲み込んでいたに違いない・・・。
部屋に戻るとちーちゃんは、もうケージから飛び出し
走り回っていた・・・
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夕方もう一度いらっしゃいと言われたが、
夕方まで待っていられず・・・
「ひも」を綺麗に洗いビニール袋に入れて
先生のところへ持って行った
受付でお話すると、すぐに先生を呼んでくれて
「先生、ちはるちゃんのお腹にこれが入ってたって〜〜!!」
なんだか看護師さんも興奮してるのがわかる
先生は「えぇ〜この長さ〜〜?!」と絶句という感じだった
「はい、80pありました」
「いやぁ〜〜奇跡だなぁ〜〜」
生後3か月の子猫の胃袋にこれが入ったら
胃や腸で詰まってしまって
便として出るなんてことは奇跡らしく、
「通常だったら、切開して出さないといけないところだった」と。
すごい、すごいぞ、ちーちゃん!!
この時先生に
「ちはるちゃんは、20歳まで生きられる」と太鼓判を押された(笑)
(当時は13歳くらいが平均寿命だったので
「も〜先生何言っちゃってんの〜」と思ったもんです)

それにしても、猫の誤飲、注意しないといけません
乳幼児と一緒で、何を口にするかわからない・・・
飼い主としてこれは、ほんとに反省させられました
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