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それは、兄が小学校6年生で私が1年生の時。
学校から帰った兄のところに
よく3人の同級生が遊びに来ていた。
来年から中学生になる男の子にとって、
小学1年生の女の子と一緒に遊ぶなんて、
たぶん面倒くさかったんじゃないかと思うが、
その中の「ケンジくん」だけは違った。
「一緒にあそぼう」といつも誘ってくれた。
何かと話しかけて、とても優しくしてくれる
「ケンジくん」が小1の私は好きだった💛
そして、その日も。
「かくれんぼ」が始まると、「一緒にかくれよう」と
声を掛けてくれた。
(ゲームなど無い時代ですから、
遊びと言えばかくれんぼ、缶蹴り、
女の子はゴム飛びなどしてましたよ)
ケンジくんと私は、
どこへ隠れようか・・・と家の中を探す。
そして、お風呂場の風呂桶の中に二人して入ると、
ケンジくんが蓋を閉めた。
(当時は煙突のついた木のお風呂でした)

(実際の写真ではありませんが
当時のお風呂はこんな感じでした)
木製の少し重い蓋をきっちり閉めると、
中は真っ暗になり、
相手の顔も見えなくなったが、少しも怖くなくて、
何だか、とってもドキドキ、わくわくした。
真っ暗闇の風呂桶の中でケンジくんが私に尋ねる。
「僕たちの4人の中で、誰が一番嫌いかなぁ?」
ケンジくんは「いきなり誰が好き?」と聞くと、
私が答えづらいかと気を使ったんだろうか。
しかし、私は子供なりに
「誰さんが一番嫌い」という言葉を
言ってはいけないような気がして、
「うう・・・ん」と言ったまま黙っていた。
すると、「嫌いな人」を聞くのは言いづらいのか・・・
と理解したケンジくん。
いきなり「じゃぁ、誰が一番好きかな?」
私は「ケンジくん」の顔の前で、
「ケンジくん」を指差した。
目の前に手が出てきた事はわかったが、
それが何なのか理解できず、
ケンジくんはほんの少し蓋をずらす。
すると、光がさぁ~と差し込んできて、
私の小さな人差し指が浮かび上がる。
ケンジくんのにっこり笑った顔が
指の向こうに見えた。
一応ケンジくんの名誉のために
書いておくと
”だからと言って何かされたりしていない”
(そんな話ではないです)笑
それがケンジくんが我が家に遊びにきた最後だった気がする
その後中学生になり、
兄の友人関係も変化していったのかもしれない。
それから数年後、
偶然近所の道で「ケンジくん」にバッタリ会った。
高校生になっていた「ケンジくん」は、
なかなかのイケメンで
前髪を流して、Kポップアイドルのような風貌だった。
すっかり”出来上がっていた”気がする。
そうだ、「もてる人」は
その要素を子供のころからすでに身につけている。
生まれつきみたいなものだ。
あの時6年生だった「ケンジくん」には、
すでにその片鱗があったように思う。

それから月日が流れ、私も所謂「としごろ」となった頃、
母に何気なく「ケンジくん」との事を話した。
私は一つの思い出話のつもりだったのだが、
何と!!母は、すぐに「ケンジくん」の家をたずね、
母親と色々話をしたらしい。
ケンジくんと自分の娘が、
「いいご縁」としてまとまるといいなと思ったそうだ。
まったく、母の行動力にはびっくりだ。
すでに「ケンジくん」は結婚していて、
実家には住んでいなかった。
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