ねこちん第11話は、2部形式で書くことにする。
1部は、Himawariの夫Hideちゃんからみたお話。
2部は、Himawariから。
2004年夏の終わりの・・・(^^) |
第一部
その日僕はリビングのテレビでオリンピックを観戦していた。
女房はいつものようにカチャカチャさせながらパソコンをやっていて、
時々オリンピックの結果が気になるのか「どうなった?」などと聞いてくる。
そんなに気になるんなら、リビングに来て一緒に見ればいいのにと思うけど、
どうやらそっちもこっちも気になるらしい。
「ねぇ、ねぇ、ちょっと見てみて」
「何?」
「いいからさぁ、可愛いから、見てみてよ」
女房があんまり言うので、僕は少しテレビも気になったが、
パソコンのそばに近づいていった。
画面には可愛い子猫が映し出されていた。
「石鹸やってるKimさんちで生まれたんだよ」
「あぁ、宮前区の人か・・」
前に女房が石鹸を購入したとき、
Kimさんの住所が自分の勤務地に近かったので、二人で驚いたことがあった。
「へぇ、そこで子猫がうまれたんだぁ、かわいいねぇ・・・」
しばらく二人で子猫のいろんな写真を眺める。
その後、オリンピックが気になった僕はテレビの前に戻ったけど、
女房はいつまでもカチャカチャさせながらその映像をため息つきながらみていた。
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次の夜もまた次の夜も、それは続いた。
3日目に女房がまた僕を呼んだ。
「里親探しを始めてね、2にゃんは決まったらしいよ」
「へぇ、そうなんだ」
「この、コロちゃんって子はまだみたい」
思わず釘付けになった。
オリンピックがぶっ飛んだっという感じだった。
相手が女性だったらビビビっというやつだろうか。
「どんな人が里親になるんだろうねぇ・・・」
ま、我が家は無理だからね・・女房は何も言わなかったけど
たぶんそんな心境なんだろう・・・その日は特別長い時間子猫の写真を見ていた。 |
8月20日、出勤した僕はなんだかあのコロちゃんのことが気になって仕方なかった。
女房もそうなんだろう。
今まで何度も5ニャン目を飼うチャンスはあった。
野良ちゃんを保護したり、ネット上でも里親探しのHPを眺めていることも多かった。
それでもあんなに何度も長い時間同じ写真を眺めていたことはないような気がした。
でも何も言わないのは、
今まで、訳あって引き取った野良ちゃんが4にゃんもいる・・
それにももとちはる・・という相性の悪い猫もいる・・
だからもうこれ以上飼うのは・・とあきらめているんだろう
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僕はお世話になっている獣医さんに電話をすることにした
「とりあえず聞くだけだ・・とりあえずだ」
と自分に言い聞かせて獣医さんに相談する。
ちはるともも・・この2にゃんの状況をよくわかっている先生の言うことなら
信頼できると思ったからだ。
「仲が悪いのは相性ですよ。こればっかりはどうしようもないです。
だからまた新しくきた猫とうまくいかないかというと、そんなことはありません」
先生は「今度の猫とも相性が悪いという可能性もある・・」ということも言ったと思うけど
楽天的な僕はそれは聞こえなかったことにした。
そして9月7日、女房の誕生日にコロちゃんをプレゼントしようと考えた。 |
会社の事務の女性に事情を話して、まずKimさんのHPを探してもらった。
恥ずかしながら、自分はHPもメールも苦手で、何だかよくわからない。
猫好きな彼女は、時々女房の猫のHPに遊びに行っているらしく
リンク集からすぐに探し出してくれた。
メールを送ってもらう。
我が家に4匹猫がいること、仲の悪い猫のこと
そして獣医さんに相談したいきさつなどを詳細に書いてもらった。
Kimさんは「Himawariさんなら安心してお渡しできます」と
喜んでOKしてくれた。
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それから半月の間、女房には内緒でKimさんと話を進めてきた。
「血統書の名前はどうしましょうか」と聞かれ、
とっさに浮かんだのは「もも」を命名するとき、最後まで悩んだ「さくら」という名前だった。
「たぶん、女房はそうつけると思いますので」
あまり考えもせず返事をした。
一日一日と7日が迫ってくる。
どきどきしながらその日を待った。
正直に白状すると、
女房の誕生日プレゼントと言いながら、
本当は自分が「コロちゃん」に一目ぼれしたのではないかと思う。
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9月7日は、台風の接近ということもあり、かなり風が強かった。
会社帰り、駅でKimさんと待ち合わせをし、コロちゃんを引き取った。
間際まで、Kimさんは泣いていた・・とのことで、なんだか申し訳ない気分になった。
ハンドメイドのパッチワークの敷物やうさぎの人形、
においつけの砂や、カリカリ、コロちゃんの写真がいっぱい詰まったCD、
それからニッキくんの里親Pekoさんからのプレゼントの首輪もいれてもらう。
Kimさん直筆の手紙も添えられていた。
それじゃ、いこうかな。
これから電車で2時間かけて自宅へ向かう・・
コロちゃん、がんばってくれよ。
僕は布のキャリーバッグを大事に抱えて電車に乗った。 |