***ねこちん第9話  暴れん坊将軍現る***
***平成12年夏のお話***

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猫は好きだが、もうこれ以上は飼えない・・・。
いつも健康で元気ならもっと飼いたいけど・・・。
でもこういろいろと・・・変なものを飲み込む子がいたり、
覚えられないような難病になる子がいたりすると・・・。
3匹で手一杯だ!ぜったいもう飼わない!!・・・そう決めていた。
春、夏、冬・・・と名前が揃って、秋はいない。
「秋子ちゃんとか、まだもう1匹飼えるんじゃない??」
なんて無責任なことをいう人がいる。
「残念でした!・・・うちの夫の名前はひであきっていうんだよ!」
近所に「Kくん」という青年がいる。
家族ぐるみで親しくしてもらっている。
数年前家族で引っ越してきたときは、まだ中学生だったKくんも、
成長してIT関係の仕事に就いた。
PC塾をはじめた私にとって、とても心強い味方。
彼は迷惑なのかもしれないが、相談に乗ってくれたり、
修理にきたりしてくれる。
9月のある日、Kくんが友人宅のそばの自販機で缶コーヒーを買っていた。
そのとき、自販機の下からチョロチョロ・・・と仔猫が出てきて
ヨロヨロ・・・と向かった先は、車の往来の激しい道路!!
「あぶない!!」とっさにKくんは、その猫を拾い上げた。
「こっちは来ちゃだめだよ」と反対方向に向かせるが、
どうしても車の通る道へ行きたがる・・・。
「困ったなぁ・・・」
心優しいKくんはこの猫を自宅へ連れて帰ってきた。
「我が家ではきっと飼っても死んじゃうと思うんです・・・」と
Kくんは、その猫をうちへ連れてきた。
Kくん宅は大型トラックがバンバン通る県道沿いに建っていて、
今までにも不幸な事故があったらしい・・・。
それに家族全員が働いていて、
とてもこんな小さな猫は面倒見切れないということだった。
そう言われても・・・うちだってもう手一杯だってば・・・。
「拾ってきたんだから、外に出さないようにして、
何とか工夫して飼いなさいよ」と言ってお断りした。
その夜、抹茶アイスが食べたくなって、
セブンイレブンへ行こうと夫と家を出た。
セブンイレブンは、県道沿いのKくん宅の反対側だ。
買い物を済ませ、駐車場で車の走るのを眺めていた。
ものすごいスピードを出して何十トンものトラックが走っていく。
走るトラックとトラックの間からKくん宅が見えた。
夫「Kくんとこの猫どうしたかな」
私「・・・・・」
夫「ちょっと見に行ってみるか?」
私「だめだめ、行かないよ」
夫「そうだよな。行ったら最後だよな」
私「うん、そうだよ。行かないよ・・・」
結局私たちはKくん宅の玄関前に立っていた。
私がKくんのお母さんと話しをしている間に、
Kくんは夫の前へ行って頭を下げていた。
「よろしくお願いします。こいつ車にひかれそうだったんです・・・。」云々・・・
夫の「うん、うん、わかったよ」という声が聞こえた。
あ〜〜、結局そうなるわけね。
夫は青年がきちんと頭を下げたりするのに弱い・・・。

その猫は抹茶アイスと一緒に我が家にやってきた・・・。

つづく→