夕べトイレに起きて、手を見たら、赤い腫れが広がり手首が回らないほど。 手の甲も腫れてきてるようなので、看護師に訴えたが、「針はまだ入っている」「冷やして、冷やして」と。 本当に冷やすのって効果あるのか。
S婆さんの長い寝言にドキドキした。かなり長いこと喧嘩をしてた。 「ばかやろう!」だの「おい、やるか!!」などと・・・。 だんだんと喧嘩は激しくなり、バタバタと音を立てて、布団を蹴っている。
こりゃ、ナースコールした方がいいのか、しかし余計なお世話か・・・。 悩んでいるうちに、笑い出した。 ケタケタと笑っている。どうやら、仲直りしたらしい。
明け方少し眠れる。相変わらずの腕の腫れと赤みと痒みだ。
夕べの寝言婆さんが、この部屋から「富士山が見えるんだよ」と話しかけてきた。
窓際・・・。そういえば私は廊下側のベッドで、窓際に行ったことはなかった。 となりの桐ダンス婆さんにご挨拶する。 実は、あのにぎやかな婆さんがいた時は、3人が結託してるようで、私は一人無視され続けた。
にぎやか婆さんが退院して、静かになった病室。ようやくこの二人が普通に話してくれるようになった。
ちょっとした縁でたまたま同室になった人たち。しかも、ほんの数日のお付き合い。 隣にどんな人がいようが構わず、一度も話さず終わる人もいるかもしれない。 しかし、カーテンを開けたら、鉢合わせることもあるし、夜中に具合でも悪くなって迷惑をかけたりするかもしれない・・・。 実際、私はポンプがピーピー鳴ったり、点滴の際には看護師が大勢集まって大騒ぎしたりと、迷惑かけてる。
だから、私はつい数日でも、普通に話くらいできる関係になりたいと思ってしまう。
入院して9日目にして、ようやく3人並んで富士山を見た。 桐ダンス婆さんが、「朝は朝の、夕方はまたそれなりの景色があるのよ」と。 ほぉ。そんな素敵なことを言うんだぁ・・・。
真っ白い雪をかぶった富士山をみんなで眺めながら、少しだけ嬉しくなった。 入院して、初めての嬉しいことだったかもしれない。
ベッドを倒して寝ると頭痛がするので、起こして休むと今度は腰痛になる。 病室にいたら、寝るか座るかしかないので、結局デイルームへ行ったり、廊下を行ったり来たりするしかない。 しかし、あんまり動くと、ポンプがピーピー鳴る。まったく何をするのも不自由だなぁ。
にぎやか婆さんが退院したベッドに、新しい方が入って来た。かなり高齢のようだ。 一人暮らしをしているが、トイレの中で倒れたらしい。「まだ、一人でトイレに行ってはだめですよ」「ナースコールしてくださいね」 「はい、わかりました」一応お返事は活舌がよく麻痺などもないようだが、やはり倒れたばかりなので、「一人で歩いちゃだめ」というのを、何度も言われていた。
夕方になったので、また富士山を臨む。手賀沼に夕陽が映ってこれはこれで、また綺麗。富士山は少しグレーに霞んでるけど。(スマホの望遠なんで画像は汚いけど)
夜になり右手の腫れがひどくなって、さすがに看護師もこれはもうだめだと思ったようで、左手の甲に刺しなおしてくれた。 しかし、この人ガンガンくるなぁ。 針刺すの3回も失敗して、痛いと言っても案外平気。 刺す時もいきなりやる。あぁぁ。めちゃくちゃ、勇気あるわぁ。 しかし痛いんだよ。
唯一この辛さを忘れるのは、Bluetoothで音楽を聴いている時。 スマホからは最新のもの。ウォークマンでは昭和の歌謡曲♪ その日の気分でお好みの曲を。
点滴の管がブラブラしているので、やっぱりBluetoothは助かる。 本体はテーブルに置いたまま、トイレも行けちゃう。 音楽に励まされ、さくらの映像に癒され、Himawari、頑張る〜〜。
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